「もう少し詳しく調べたいところじゃが……今日は時間もない事だし、次に移るとするかのぉ」
「ええ。ルディーン君には今日しか手伝ってもらえませんものね」
地図を見ながら魔力の流れを調べたり、僕の鑑定解析でベニオウの木の近くに生えてた薬草の成分を詳しく調べたりしてたんだけど、このままだと今日はこれだけで終わっちゃいそうでしょ?
でも僕がお手伝いできるのは今日だけだから、そう言うのを調べるのはこれで終わりにするんだって。
それじゃあ次は何をするのかって言うと、採ってきたベニオウの木の葉っぱや枝、それに幹の皮とかの研究なんだよね。
「実を言うとな、ベニオウの木を調べるのはこれで初めてじゃから、何の情報無くてのぉ」
「ちょっと面倒な事もあるかもしれないけど、お願いね」
「うん! 僕、頑張るよ」
僕が鑑定解析で調べるまで、ベニオウの木が魔木だって事、誰も知らなかったんだ。
だから森の入口の近くにだって生えてるのに、今まで調べた事が無かったんだって。
「それではまずわしらが解析で調べてみるとしよう。そして詳しく知りたい事が出来てからが、ルディーン君の出番じゃ」
と言う訳で、まずはロルフさんたちが調べてみる事に。
何でかって言うと、僕の鑑定解析はいろんな事が解るけどその分詳しい事を知るには何を調べたいのかが解ってないとダメなんだよね。
だからいきなり僕が鑑定解析しても、魔力は注げるけど薬草としては何の役に立たないものまで成分として出ちゃうでしょ?
そしたらさ、髪の毛つるつるポーションの時みたいに僕しかお薬にできないなんて事になっちゃうかもしれないんだって。
そうならない為にもロルフさんたちが先に調べて、それから何を調べたらいいのかを僕に教えてくれるって事になったんだ。
「ふむ。こうしてみると、素材としては面白いが枝や樹皮は薬草にはならぬようじゃな」
「ええ。魔力をよく通しますから、もしかすると離れた場所にある魔道具へと魔道リキッドから魔力を送る為の素材になるかもしれません。ですが、薬効が殆どありませんものね」
ロルフさんたちが調べて解った事なんだけど、魔木って木の皮んとこを魔力が循環して葉っぱや実に運んでるんだって。
でね、その特徴から、もしかするとベニオウの木からは魔力を通しやすい素材が作れるかもしれないそうなんだ。
「じゃが、この研究にはちと時間がかかりそうじゃ」
「ええ、そうですわね。今日の所は保留にして、今日の所は葉と実の研究を中心にした方がよいでしょう」
でも、それは素材になるかも? ってだけだし、もしなるとしてもいっぱい調べないとダメだから、今日はいったん取りやめ。
それよりも葉っぱやベニオウの実の方を調べた方がいいってバーリマンさんは言うんだ。
何でかって言うとね、調べてみたらこの二つは薬草になりそうだかららしい。
「葉や果実そのものもかなり興味深い成分が検出されておるが、ここはやはりベニオウの実の皮じゃろうな」
「ええ。これはしっかりと調べてみる価値がありそうですわ」
それもね、ベニオウの実の、それも皮に含まれてる成分から、すごいお薬が作れるかもしれないんだってさ。
「そうなの?」
「うむ。どうやらこの皮にはな、魔力を回復させたり、体力そのものを回復させたりすることができる成分が含まれているようなのじゃよ」
みんなが使ってるポーションって、飲んだりかけたりしたらおケガが治るでしょ?
でもそれはそこが修復されるだけだから、流れ出ちゃった血や体を治そうとして使っちゃった体力は戻らないんだよね。
ところがこの皮には、そんな体力を回復させる成分が含まれてたんだって。
その上、魔力を回復させる成分まで入ってるって言うんだもん! ほんと、びっくりだよね。
「じゃあさ、ベニオウの実の皮を使ったら、おケガを治すだけじゃなくって、一緒に体力や魔力も治っちゃうお薬ができるの?」
「いや、流石にそれは無理じゃ」
「そうね。それだけの効果があるポーションなんて、普通の錬金術師ではとても作る事ができないもの」
ベニオウの実には確かにいろんな成分は入ってたんだよ?
でもいろんな成分が入りすぎてるもんだから、それに全部魔力を注ぐのは無理なんだって。
「じゃあ、体力を回復させたり、アン力を回復させたりするお薬は作れないの?」
「いやいや、そうではない。ただな、すべての効果が出るポーションを作宇r事はできぬと言うだけの話じゃ」
「ええ。体力を回復するポーション、それに魔力を回復するポーションはすでに存在していて、その作成に必要な薬効が何かは解っているの。このベニオウの実の皮にはね、それらが含まれているのが解っているから、これを使えばそのどちらかのポーションを作り出すのは可能よ」
さっきロルフさんたちが行ったのは、全部に聞くお薬が作れないって意味だったんだって。
でも、魔力や体力のどっちかだけを回復させるお薬はもうできてるから、それだったらベニオウの実の皮からも作る事ができるんだってさ。
「ただな、そのポーションを作るにはそれぞれの薬効を抽出せねばならぬし、そのどちらかを抽出してしまえばその皮はダメになってしまうからもう片方の薬効が無駄になってしまうのが、ちともったいなくは感じるがな」
「そうですわね。それに、森の奥地から持ち帰った方のベニオウの皮ならば一つだけでもポーションに必要なだけの薬効を取り出すことができますけれど、街で売られている実では成分が弱すぎて複数個使う必要がありますもの。そう考えると、何とか両方の成分を使いたいと思ってしまいますわね」
ベニオウの実の皮に入ってる薬効成分の中にはね、体力のお薬と魔力のお薬、そのどっちにも使うものが含まれてるんだって。
だからそのどっちかを作ろうと思ったら、もう片方のお薬は作れなくなっちゃうんだ。
でも今まではね、その二つの薬を作ろうと思ったら森の奥の方に生えてるとっても貴重な薬草を使わないとダメだったんだって。
それを考えたら、ちょっともったいないかもしれないけど、ベニオウの実の皮からその薬効成分が取れる事が解っただけでも良かったって、ロルフさんたちは笑うんだ。
「そっか。ベニオウの実だったら、すぐに採りに行けるもんね」
「いやいや、それはルディーン君やそのご家族だからじゃよ。普通の者たちでは、そうはいかぬ」
「ええ。でも、本来必要な薬草に比べたら、はるかに収穫しやすいですけどね」
商業ギルドの人も何とか採りにいけないかなぁ? って言ってたし、ルルモアさんだって採りに行ける冒険者さんを探してみるって言ってたもん。
ロルフさんたちは僕たちだから簡単に採れたんだよって言ってるけど、みんなが頑張ってるんだからきっとすぐに採りに行けるようになるんじゃないかなぁ?
僕はベニオウの皮を見ながらああでもない、好悪でもないって言ってるロルフさんたちを見ながら、そんな風に思ってたんだ。
今週はいろいろと忙しくてなかなか書く時間が取れず、ちょっと中途半端なところで終わってしまいました。
本当ならもうちょっと先まで書きたかったのですが、今回はここまでという事で。
と言うか、ここで切ってしまって次回はちゃんと一本の話になるのか? それがちょっと心配だったり(苦笑